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察してちゃんママと、どこか他人事パパ

3人の怪獣のママ3人の怪獣のママ

産後クライシス、我が家の場合

産後クライシス。
今では、かなり市民権を得た言葉ですが、我が家に産後クライシスが訪れたのは、
おそらく、そんな言葉が生まれる前の話。

今から 10 年前の長男が生まれた直後のことでした。
私は主人の転勤で、地元からは離れた地で初めての育児をスタートさせていました。
地元ではないうえに、結婚出産が友人より早かった私は、相談相手もほとんどおらず、
育児書やネット情報とにらめっこしながら、手探りで育児をしていました。
10 ヶ月お腹にいて一心同体だったはずの我が子。
しかし、当たり前ですが我が子はコピーロボットではありません。
感情を持った全くの別人格です。
今思えば、産後鬱に片足を突っ込んでいたのだと思います。
でも、当時の私は自分の感情などに構っている余裕はありませんでした。
自分のことは後回し。小さな命を守ることに必死でした。

一方で、主人は仕事が激務でした。
仕事柄、接待も多く、週末もゴルフや何だで家にいないことが多い。
しかし、息子のことは大好きで、時間を見つけては、とても可愛がっていました。
息子も、その愛情に応えるようにパパが大好きで、パパと息子の関係はしっかりと築けていました。

しかし、夫婦仲はというと最悪でした。
「こうやって仮面夫婦は出来上がっていくのだな」と思ったものです。
「おはよう」や「ただいま」といった挨拶はするけれど、家の中にいても、息子の様子を話すくらいで、それ以外の会話はナシ。
お風呂の換気扇が回っていなかった、玄関の鍵が開いていたなど、本当に些細なことで私は怒り、
主人へのイライラが蓄積されていきました。

私の気持ち

私は、怖かったのだと思います。そして認めて欲しかったのだと思います。
見知らぬ土地で、初めての育児。
育児書やネットには、育児を楽しむキラキラしたママが溢れているのに、
自分は楽しいよりも辛いキツイといった負の感情の方が圧倒的に大きい。
ダメな母親だと烙 印を押されるようでした。

どうして、私はこんなに頑張っているのに、それを主人は認めて、ねぎらってくれないのだろう。
私が 1 人で頑張って、私だけが自分を後回しにしている!
私は、小言を言い、主人を責めることで、バランスを取ろうとしていました。
怒ったりせずに、冷静に「私は、今、かなりキャパオーバーです。助けて。」
言えれば良かったのにと、今なら思えます。夫といえど、他人です。
そう言うと寂しくもありますが、やはりエスパーでは無いのです。言わなくてはいけなかったのです。

でも、専業主婦なんだから 1 人でやって当たり前だという、
自分の中の後ろめたさからも逃げられず、自分からは言い出せずにいました。
愛があるなら、私の現状を見て、察して手を差し伸べるべきだろうと思っていました。

主人の気持ち

実は、主人に当時の話をしても、2 人の話は全く嚙み合いません。
産後クライシスだったと思っていたのは私だけ。
私が精神的にボロボロだったことにも、夫婦仲が壊れかけていたことにも主人は全く気付いていなかったのです。
どういうことか…主人は主人で仕事が嵐のように大変で、私の状態に配慮できる余裕が全く無かったのです。

パッと見は、上手く育児をしているように見えるし、喧嘩は増えたけれど、そういう時期もある。
とにかく今、自分に出来るのは、仕事で家族を守ること。今の自分を見れば妻は分かってくれる。
だから、我が家は大丈夫。ハッキリと聞いたわけではありませんが、おそらく、こんなところでしょうか。
愛が無かったのではなく、主人もまた、余裕が無かったのです。
実は、うちのようなパパが多いのではないでしょうか?

ちゃんと口に出す

そんな噛み合わない夫婦のまま、またしても主人の転勤で、別の地に引っ越しとなりました。
見知らぬ土地であることに変わりはありませんでしたが、
以前の職場よりも主人の仕事は落ち着き、家にいることも多くなりました。
ご近所には息子と同年代の子も多く、私も子育てを少しずつ楽しめるようになりました。
お互いに気持ちに余裕が生まれたのです。
余裕が 生まれると逆に「1 人の時間が欲しい」と言う勇気も湧いてくるもので。
育児でズタボロになった自分の現状を、あくまで冷静に伝えるようにもなりました。
勿論、主人はすぐに分かってくれました。専業主婦なんだからなど否定されることは全く無かったのです。
こうして、私達夫婦は、同志にはなれました。
しかし、それは、あくまで「パパ」「ママ」のポジションでの「仲間」でした。

少しずつ変わる夫婦関係

このままでは、育児が終わると同時に仮面夫婦になると思いました。

そこで、私は主人に触れることにしました(笑)。
赤ちゃんも触れることで愛情を感じるのだから、大人も同じだと思ったのです。
具体的には、マッサージをしました。これなら違和感なく触ることが出来ます。
時にはお返しにマッサージをしてくれることもありました。
それは、口に出して言うのが苦手な私達夫婦にとっては、お互いをねぎらう言葉の代わりにもなったのです。
長い年月が経っていましたが、ようやく我が家の産後クライシスに終止符が打たれました。
私はママになるよりずっと前から、自分の気持ちを正直に伝えることが苦手な「察してちゃん」です。
それでは夫婦仲が最悪になることを学びましたが、今でも、やはり苦手ではあります。
主人は、子供を愛していることに間違いはありませんが、やはり育児の主軸は母親にあり、自分は手伝うポジションで、
育児を自分のことだと捉えられず、悪気無く「どこか、他人事」で考えていたのだと思います。
しかし、今では3人子供がいて、手伝うなどという、ぬるい考えでは生活が回らないことを分かっています。
そして、何より自分の妻が呆れるほどに察してちゃんであることも学んだようです。

悩めるパパ、ママへ

私が知っている限りで言えば、程度の差はあれ9割以上の夫婦が産後クライシスを経験しています。
パパとママになる通過儀礼のような物だと捉えても良いのかもしれません。
ただ、「みんながなるんだから仕方ない」で終わらせてしまっては、その後の関係性は、そのままだと思います。
お互いに 1 歩踏み出す必要性は絶対にあります。

ママは 1 人で頑張り過ぎていませんか?
確かにママが頑張らないと回らない現実があるから頑張っているのであって、仕方ないのかもしれません。
でも、どうか無理をしてでも、自分を大切に、甘やかしてあげてください。
自分の気持ちを穏やかに出来る手抜き方法を探ってください。
それは育児 放棄でも、妻失格でもありません。これからも頑張り続ける為に必要なことなのです。

そして、パパは、ママに甘えていませんか?
ママが何も言わないから、何をしたら良いか分からないからと、ママに任せていませんか?
「うちは、妻がシッカリしてるから」なんて、信頼という名の放棄をしないで、
ママが言わない現実を、どうか見る努力をしてあげてください。
産後のママを救えるのは、他の誰でも無い、パパなんですから。

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3人の怪獣のママ

3人の怪獣のママ

大阪府

現在は大阪府在住ですが、全県転勤ありの転勤族の夫と結婚して12年。元気が取り柄の小4の長男、おそらくHSCのために繊細な年長の次男、ひょうきん者な年少の三男と3人の子宝にも恵まれました。楽しくも、手探りで毎日奮闘するアラフォーママの生活をお伝え出来たらと思います。