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不妊様と呼ばなないで part⑤ 不妊治療とフライング

みにゃみにゃ

不妊治療をしている女性の多くは、1日でも早く妊娠したい!と思います。それは、不思議なことではなくごくごく当たり前の気持ちです。そしてその気持ちは後に「フライング」というひとつの行動にもつながります。

「フライング」とは言葉の通り、スタートの合図に先立って飛び出してしまうことです。妊活や不妊治療における「フライング」とは、妊娠検査薬を通常より早く使用し、妊娠しているかどうかを確認することをいいます。

これは、本来の妊娠検査薬の利用方法では、禁止されているにも関わらず、赤ちゃんを希望する人の多くはついつい「フライング」をやってしまいます。

そこで今回は、私が経験したエピソードを交えながらなぜ「フライング」に手を出してしまうのかということについてお話ししましょう。

妊娠してるかというより着床したかの確認

そもそもなぜ赤ちゃんを待っている人の多くが「フライング」してしまうのか。その理由はとても簡単。妊娠したかどうかを早く確認したいからです。

不妊治療を経験している人は、治療の期間が長くななればなるほど、排卵・受精・着床、そして着床後の体の変化など、妊娠についての大筋の流れを詳しく把握するようになります。

もちろん私もそうでした。タイミング→人工授精→体外受精と、治療レベルが上がるごとに、少しでも妊娠に近づけるようにと、自分なりにいろいろ勉強しました。

そこでわかったのが、受精卵は着床した時点で妊娠ホルモンを産生し、この妊娠ホルモンを調べると妊娠がいち早くわかる!ということ。そしてこの着床は、だいたい排卵(受精)から1週間後くらいに行われるということでした。

つまりフライングは、妊娠をいち早く確認するというよりは、受精卵が妊娠につながる着床したかどうかをいち早く知るために行うということなのです。

赤ちゃんを希望する人にとっては、着床(妊娠)を1日でも早く知るということは、1日でも早く赤ちゃんというゴールを手にするということに繋がります。そのため着床の時期を迎えると、いつフライングしようかと心がソワソワします。

しかし、フライングは妊娠をいち早く知るというワクワクと引き換えに今までより辛い現実も受け入れなければなりません。

初めて目にした陽性の縦ライン

あれは私が初めての体外受精にチャレンジしたときのことです。
私が通院していたクリニックでは、受精卵は着床直線となる胚盤胞まで育てて移植するのが一般的な治療法でした。

胚盤胞移植は、着床直線の受精卵を子宮に移植すため、受精から間もない初期胚を移植するより妊娠確率が高いといわれています。また、着床直線ということもあり、移植日より1~2日後にフライングすると、陽性が確認できるというウワサも…。

これらの情報を耳にしていた私は、移植から2日後フライングを決行することにしました。そして使用する妊娠検査薬は一般的な妊娠新検査薬よりも妊娠ホルモンの感知精度が高い早期妊娠検査薬を選びました。

私はソワソワしながらトイレに入り検査薬に尿をかけました。待つこと数分…なんと今まで一度も見たことがなかった陽性の縦ラインが目に飛び込んできました。
「あああ!着床してる…」
今までの苦労が報われた!と感じた一瞬でした。
その後妊娠判定までの数日間は、とにかく性別はどっちかな?身体は冷やさない方がいいかな?つわりはまだかな?など、おなかの中の小さな命のことで頭がいっぱいの幸せな時間を過ごしました。

移植から約10日後、私はウキウキしながら妊娠判定のためクリニックへ行きました。

クリニックでは、血液内の妊娠ホルモンを測定し、妊娠しているか・妊娠していないか、を判断します。また、クリニックではたくさんの患者さんのデーターが揃っているため、移植から10日後の妊娠ホルモンの数値によっては、妊娠の継続が可能な数値なのか、それとも不可能な数値なのかさえも判断できるのです。

私はクリニックへ到着すると採血を済ませ、待合室で名前が呼ばれるのを心待ちにしていました。もちろん「妊娠おめでとうございます」と言われるのだと思いこんで…。

いざ名前が呼ばれ診察室に入ると、ドクターから「着床していますね」と言われました。私は「ありがとうございます!」と答えました。しかし、その後続くようにドクターからは、

「実はね、着床はしてるんだけど、数値があまり良くないんですよ。もしかすると妊娠は続かないかもしれない」

と、流産の可能性を告げられました。天国から一気に地獄に叩き落された瞬間でした。

フライングするなら最悪の結果になる覚悟も必要

その後おなかの赤ちゃんは、なんと胎嚢まで見せてくれ必死に成長しようとしていました。胎嚢が見えたときはもしかしたら…と思いましたが、やはりそれ以上は成長できず、クリニックで告げられた通り私の初めての妊娠は流産という結果に終わりました。

この結果を受け、夫はとにかくフライングを反対にしました。妊娠検査薬の陽性は過度の期待につながるからやめた方がいいというものでした。確かにその通りです。でも私は少し違う考えでした。

確かに流産という結果はとても辛く、できれば2度と経験したくないものでした。しかし、フライングしたことにより短い間ではあったけれど、おなかの赤ちゃんと幸せな時間を過ごすことができました。

もしフライングをしなければ、あの幸せな時間はなく最初から流産の不安しかない短い妊娠生活だったかもしません。それを考えると、私はあながちフライングは悪いことではないんじゃないかと思います。

その後長男の妊娠につながる2度の体外受精のときも、次男を妊娠したときも私は着床時期にフライングを行いました。もちろん流産のリスクは覚悟の上でした。それくらいあの妊娠検査薬の陽性の縦ラインは魅力があります。

でも、勘違いしないでくださいね。私の今回のお話はフライングをすすめるものではありません。あくまで私のフライングに対する感想と経験のお話です。

そして最後に、もしこれからフライングしようと考えている人に伝えたいです。妊娠検査薬は本来決められた期日で使用することが基本的なルールです。そのルールを違反してフライングを行うのですから、正しい結果を得られるわけではありません。間違った結果が出ることもあるのでそれを覚悟しフライングをしてくださいね。

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みにゃ

みにゃ

石川県

石川県奥能登出身。 里山里海に囲まれた自然あふれる土地で育児に励んでいます。 結婚直後に不妊が発覚し不妊治療を経験。 結婚から7年後やっとの思いで妊娠・出産。 しかし、やっとできた子供には発達障害が… 私の育児は常に波乱万丈! だけどめげることなく楽しいことを探し続けています☆