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産後調理院の体験記③ 〜持つべきものは同期のママ友?!〜

りんごりんご

シリーズでお届けしている韓国の産後調理院体験記。今回は調理院の環境をご紹介しながら、「もしかして調理院選びに失敗したかも?!」と思った出来事について書いてみたいと思います。その失敗に気づいたのは、同時期に出産した韓国人ママたちとの交流がきっかけでした。」

聞いていた話と違った!産後調理院の環境

お世話になった調理院は、出産した産院に隣接する5階建ての商業ビルの中にありました。場所は2階と3階。両フロア共に新生児室があり、妊娠6カ月の頃予約しに行った時は、「1室最大7名の新生児を看護師2名が24時間ケア」と聞いていたのですが…。

私が滞在中、使われているのは3階の新生児室だけで、常に10人以上の新生児がぎゅっと詰め込まれている状態でした。

また、アプリをダウンロードすれば、遠くに住む家族や仕事中の夫も新生児室の様子をリアルタイムで見られると聞いていたものの、実際には、24時間ではなく「昼間の数時間だけ」という時間制限があったのでした。

ママたちの個室は各フロアに7〜8部屋ずつ、新生児室を取り囲むように並んでいました。部屋の中にはダブルベッド、椅子とテーブル、テレビ、本棚、シャワールーム(座浴用の椅子付き)、新生児用のベッド、授乳用クッション、電動搾乳機が用意されていました。クーラーとオンドル(床暖房)、空気清浄機も完備。

院長には何度も「オンドルをつけて部屋を27度に保つように」と言われましたが、産後常に身体が火照っていた上に、部屋には強い西日が射し込んでいたので、私にはオンドルよりも、むしろクーラーが恋しい状況…。

ところが、調理院内ですれ違うママたちは、首にスカーフやタオルを巻いたり、モコモコの分厚い靴下を履いたりしているではありませんか!「みんな暑くないのかい?」と驚いたものの、「産後は身体を温める」というのがこの国では常識なのだな、と学んだのでした。

2階には各種プログラムが行われる広々としたロビー、宿泊した夫たちに朝食(有料)がふるまわれるカフェスペースの他、下半身を温める機械やフットマッサージができる小さな部屋もありました。

しかし、調理院に来た初日にスタッフから施設に関する説明がほとんどなかったため、マッサージ部屋の存在を知ったのは滞在1週間たった頃のこと。また、宿泊者への朝食に関する説明もなく、サービス事体を止めてしまっているようでした。

知らぬ間に変わっていた産後調理院の経営者

このように、予約時に聞いていた話とは異なる点や、質問しないと詳細を教えてもらえないという不便さはあったものの、「まあここは日本じゃないし、韓国ではよくあることなのかも」と考えていた私。ところが、2階のマッサージ室に居合わせた韓国人ママたちの話を聞くうちに、この調理院のさらに残念な点をいろいろ知ることになったのです。

ママたちの内、2人は第2子出産、1人が第3子出産を終えたばかりでした。マッサージ室で顔を合わせるなり小声でヒソヒソ始まったのは、「知らない間に調理院の経営者が変わっていたなんて、詐欺にあった気分!」という話。

私も出産直前に知って驚いたのですが、実は、予約時に説明してくれた院長が体調不良のため調理院を売りに出し、予約者に何の説明もないまま、新しい院長に変わっていたのです。

そのせいか、この調理院一番のセールスポイントだった骨盤矯正プログラムは行われなくなり、調理院と提携していた写真館も違うところに変わってしまったので、私と夫は1度撮って満足していたマタニティフォトを2度も撮らされるはめになったのでした。

ママの一人は、予約時に全額、前院長に支払っていたそうですが、なんとそのお金が今の院長に引き継がれていないことを知り、「また支払ってとは言われなかったけど、騙された気分」と嘆いていました。

もう一人のママは「部屋に備え付けの座浴器が壊れていた」と言い、また別のママは「昔ここを利用した時は、小児科の先生の診察が毎日あったのに…」とがっくり。それでも「短期間の滞在だから」と、みんな片目をつぶり、それぞれ静かに時を過ごしていたのでした。

軍隊同期に劣らない、調理院同期の絆

各自もんもんと溜め込んでいた調理院への疑問や不満を吐き出したこの日をきっかけに、ママたちの仲は急速に深まり、すぐに連絡先を交換してカカオトーク(韓国ではLINEよりカカオトークが主流)でのグループチャットが始まりました。

調理院滞在中は授乳の悩みを相談したり、時間を合わせて一緒にプログラムに参加したり。自宅に戻ってからも子どもが100日を迎えるまでは、子育て中の悩みを打ち明けたり、励まし合ったりするなど、しばらく交流が続いたのでした。

私たちの場合は住む地域もバラバラで、他の3人は2〜3児育てていたため、一度も再会はかないませんでしたが、韓国では「男は軍隊の同期、女は産後調理院の同期」と言われることがあるくらい、同時期に出産を経験し調理院で共に過ごした仲間とは、深い絆で結ばれる人も多いそうです。

期待していた調理院の環境は残念な点もいくつかありましたが、この調理院に入っていなければ韓国人ママたちとの出会いや交流もなかったわけなので、今となっては結果オーライ!良い体験ができたと思っています。

次回はいよいよシリーズ最終回。調理院の一日のスケジュールをご紹介しつつ、肝心の息子との触れ合いが一体どんなものだったのか?新米母の数々のとまどいや失敗談なども交えながら、お伝えしたいと思います!

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りんご

りんご

韓国

韓国在住、日韓ハーフ1歳児の母です。30代後半で国際結婚。新婚生活スタートと同時に子どもを授かり、異国の地で手探りの妊娠期間と高齢出産を経験しました。日本では紙媒体の編集記者の他、ファミリーサポートセンターでの勤務経験もあり。今地球のどこかで、ちょっぴり孤独も感じつつ子育てに奮闘中の方へ、私の体験・失敗談を通して「1人じゃないよ」とエールを届けられたら嬉しいです。