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性教育は突然に。「ママとパパはどうして混ざったの?」

YUKAYUKA

突然の質問

ある日の昼下がり。
クローゼットの整理をする私のところへやってきた娘が「ねぇ?私はママから生まれたんでしょ?」と聞いてきた。
「そうだよ、ママのお腹に10ヶ月もいたんだよ〜」荷物を片す手を止めることなく言うと、すかさず「じゃあなんで顔がパパそっくりなの?」また私は「だってパパとママの子だからだよ〜半分こ。」と答える。

すると首をかしげながら「半分なら、どうやってママのお腹にパパが混ざるの〜??」・・・こ、これは・・・?脳内のあらゆる引き出しをひっくり返し、これじゃない!これでもない!ないないない!あ、これはただの下ネタだ!と実は大パニックだったがそんなことを悟られまいと「ああ〜おもしろい質問だ!はいはいはい。そういうことね。はいはいはい・・・」と、無駄に時間稼ぎをするが、矢継ぎ早に「パパがお腹大きくならないのはおっぱいがないからじゃない?」「パパは身体中が毛だらけで赤ちゃんには住みづらいからお腹に来なかったんじゃない?」「ママが寝ている時に私が小さくなってお腹に入ったって◯◯ちゃんが言ってたよ!」「病院でパパの血を注射したから赤ちゃんができるって言ってた子もいたよ!」疑問からいろんな妄想が膨らみ、もはや彼女の頭の中は宇宙。

そして私はごまかさない

時は来たのだ。知りたがっているのだから教えるべきだと思った。まだ表現などは決めていなかったが、ごまかしたりすることはないと私はゆっくり説明した。

「パパとママは結婚して、赤ちゃんが欲しくって今までよりもっと仲良くしよう!って約束したんだよ。パパの(我が家で使う男性器名称)がママのお腹の中にある赤ちゃんのベッドを作るお部屋に入って、二つの卵が一つになって赤ちゃんになるの。」と、性交渉をすると赤ちゃんができると説明した。

驚いたりしながら真剣に聞きながら、「ママのお腹の中にベッドは今もあるの?」と質問されたので、「あるよ。でもべッドはいつもないの。ベッドを作ったり、ベッドのお部屋を掃除したりするの、だから生理って言って、血が出るんだよ。生理は赤ちゃんを産むための準備ですごく大事なことなんだよ。準備はいっぱいあるけど胸が大きくなるのもそうだよ。これからどんどん成長が始まっていくけど、最初は絶対に心配になったり不安で不思議でたまには悲しくなっちゃうことも起こると思う。でも、ママやばあばや保健室の先生、病院の先生に何でも聞いていいんだよ。」一応窓口は多めがいいと思い伝えた。

一番覚えてて欲しかったのは性を恥ずかしがって欲しくないということと体の成長を怖がって隠したりして欲しくないということ。自然に起こることでも自分だけがおかしいんじゃないか、と不安になって欲しくない。それは自分の経験からだと思う。

私の時代は性教育どうだった?

思い出そうとしたのだが、私は自分の育った家の中で性の話をしたことはない。両親が男女の体について話すようなことはなかったし、私も質問しようと思ったこともない。両親の醸し出していた「性的なことは話しませんよ」という雰囲気は小さな時から感じ取っていた。

一人っ子あるあるなのか、友達からの情報で生理を知ったし、男女の性的な話も先輩や友達からの情報で覚えた。でも、いざ成長が始まると全てが「自分は変なんじゃないか?」と思春期の間いつも不安だった。胸が膨らみ始めた時に「新しいの買うてきたから着いや」と優しく母は下着を買い足してくれたが、私の話を聞いてはくれなかったし、自分の経験も教えてくれなかった。

約20年前、学校での性教育は・・・

私の初めての性教育は小学校高学年。担任の女性教諭と保健の先生がタイアップで行った特別授業。大きな模造紙に男女の体が描いてあり、男女の体の作りの違いと赤ちゃんができるまで?といったそんなようなことだったと思うが、そんな授業のことよりも、授業の最後に女子だけ保健室へ移動し、小さなポーチが配られた。ポーチの中には数枚の生理用品が入っており、ふわっといい香りがした・・・気がする。

全員に渡し終わった保健の先生が「これはみなさんが使うものなので男子に見せたりしてはいけません。」と言ったその一言で女子たちはなぜか男子より上に立った。(どういう心理なのかは言い当てられないが)教室に戻ると「女子だけ何もらったんだよー」「いいなー」と無邪気な男子たちに、ホラ来たと言わんばかりに声を合わせ「ぜーったい言えないんだよねぇぇぇ〜〜ねぇぇぇ〜〜」と顔を見合わせた。この一連の流れが私の私の初めての性教育の記憶だ。乏しすぎるが、「男子からポーチの中身を守り女子が結束した日」なだけだ。

そんな経験と記憶から、私は性教育をきちんと受けていないまま大人になってしまったということに気づく。(教師たちはきちんとやっていたがただ私がスルーしているということを含め)

私の場合は娘だったのと、かなり踏み込んだ質問をされたので一度でかなり説明を詰め込んだが、まだまだこの先小分けにして教えていきたいことがある。男の子の場合はまた全然違う伝え方になると思うが、父親から話す方が体のことを分かっているしいいのかもしれない。

私が10代の時のように中途半端な知識や誤った情報で不安になって欲しくないし、性別の違いの意識が間違った方向へ行けば自然と誰かを差別したり知らない間に他者を中傷する原因にもなりかねない。性教育を通して自分が生まれる前から大切に育まれ生まれてきたこと、それがどれくらい奇跡的なことなのか命の大切さを知ってくれたら嬉しい。

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YUKA

YUKA

福岡市

大阪生まれ、長野育ちの33歳。映画、音楽、お酒、仏像を眺めるのが趣味。福岡で夫(ビールと長渕剛をこよなく愛するど天然)と愛娘(小3、たまにラップを披露してくれるど天然)と三人暮らし。子育てのモットーは「過度な期待はしない、でも諦めない」です。