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おっぱいトラブル体験記① 〜乳口炎に悩み母乳育児相談室へ〜

りんごりんご

韓国で子どもを産むと「ぺギル(100日)」という言葉をよく耳にします。「100日までは赤ちゃんを外に出してはいけないよ」とか、「100日を過ぎれば育児が少し楽になるから」という風に。今振り返ってみると、確かに生後100日までは苦難の連続でした。特に私のおっぱいが…!というわけで、これから3回にわたり、涙なみだのおっぱいトラブル体験記をお届けしたいと思います。

あれ?母乳が出ない!

出産前の私は、子どもが乳首をくわえたら自然にお乳が出てくるものだと思っていました。ところが、いざ授乳を始めてみると、お乳がほとんど出ないのです。最初は「赤ちゃんも初めから上手には吸えないよね」と楽観的に考えていたのですが、何回くわえさせても出てこないので、粉ミルクを与えつつ混合授乳で様子を見ていくことにしました。

生後3日間産院で過ごし、産後調理院に移った後、おっぱいマッサージを受けたり搾乳機で刺激を与えたりするうちに、やっと少しずつ母乳が出るようになりました。しかし、授乳後は乳首が真っ赤に腫れ、ヒリヒリと痛むように。韓国人の友人に相談すると、こういう時は授乳後すぐ「乳頭保護クリーム」を塗ると良いそうで、赤ちゃんのおしりかぶれにも使えるという「ピパンテン」というクリームを教えてもらい、早速薬局で入手しました。

授乳のたびに激痛が!突然始まった乳口炎

それから間もなくして、今度は子どもが乳首に吸い付いた瞬間、針で刺されたようにチクチクとした痛みが走るようになりました。見てみると、お乳が出てくる穴の1つが白い塊(白斑)でふさがっているではありませんか!この状態は乳口炎と呼ばれ、放っておくと乳管が詰まってしまい、胸にしこりができたり乳腺炎につながったりするそうなんですね。焦った私は、調理院の院長におっぱいマッサージを依頼。白斑はポロッと取れたように見えましたが、数日も経たない内に、また別の箇所に白斑ができてしまいました。

調理院から自宅に戻る時、院長に「赤ちゃんにたくさんお乳を飲んでもらうのが一番よ」とアドバイスを受けたため、毎日痛みをこらえて母乳を与えていましたが、白斑のある箇所からはお乳がスムーズに出てきません。授乳中泣き出す息子に「ごめんね」と言いながら、母乳授乳を中断し、粉ミルクをあげることが何度も続きました。

パンパンに張る胸を抱え、母乳育児相談室へ

そんなある日、深夜に授乳中、胸がパンパンに張っているのにお乳がほとんど出ず、火が付いたように息子が泣き出し、私も痛さと悲しさで声をあげて一緒に泣いてしまうという出来事がありました。「このままでは乳腺炎になってしまうかもしれない」と思い、翌朝慌てておっぱいマッサージが受けられる場所を探してみると、日本の桶谷式マッサージを受けられる所が韓国にもあるということがわかりました。しかし、わが家からはかなり遠く、何度も通えそうにありません。

その時、ふと思い出したのです。妊娠中、保健所で開かれた「予備ママ教室」に参加した時、講師の先生が「授乳に困ったら連絡してね」と言って電話番号を教えてくれていたことを。早速その方に連絡すると、家から車で15分の場所にある母乳育児相談室に勤めているというではありませんか。藁にもすがる気持ちで予約し、すぐにマッサージを受けに向かいました。

これまで日本やアメリカで母乳育児に関する勉強を重ねてきたという先生は、「日本の方が母乳育児に関する情報や指導が充実しているのに、どうして韓国で産んだの?」ときつい冗談を言いながら、おっぱいマッサージをしてくれました。調理院では痛くてたまらなかったマッサージが、ここでは全く痛くなく、出が悪いと思っていた母乳が噴水のように勢いよく飛び散って、ただただ驚くばかり。しかし、白斑がきれいにとれることはありませんでした。

先生の話によると、「赤ちゃんに飲ませた後、お乳を出しきることが大切なので、家族に協力してもらっておっぱいマッサージをしてください」とのことでした。付き添ってくれた母と夫もマッサージの方法を教わり、それから毎日、授乳後のマッサージに協力してもらう日々が続きました。

この時、念のため産婦人科も受診してみたのですが、女の先生は私の胸の状態を確認することもなく、「母乳で育てる時、乳首のトラブルは多くの人が経験することだから」と、痛み止めと抗生物質を処方。そうしてすぐ家に帰されてしまいました。

母乳授乳を辞めたいのに辞められない

授乳中に薬を飲むのは気が引けましたが、今の状態を少しでも改善できるならという思いで服用し、白斑の痛みをこらえながら授乳した後は、おっぱいマッサージを繰り返す日々…。赤ちゃんにお乳をあげる母親の姿ってとても幸せそうに見えていたのに、私にとって授乳とは、まるで苦行のようでした。

「母乳育児なんて早く辞めたい。完全ミルクに切り替えたい」という思いが強まる一方で、「こうしてまだ母乳が出るのなら、少しでも子どもに飲ませてあげたい」という気持ちもあり、葛藤する日々が続きました。

この時一番困っていたのは、たとえ「今日から母乳授乳はしない」と決めても、胸の中のお乳は急に止まってくれない、ということでした。授乳せずに放っておいたり、搾乳機である程度お乳を搾ったりしても、しばらくすると胸がパンパンに張って寝返りも打てないほど痛くなってしまうのです。

胸がこういう状態になると、人の力を借りてマッサージするか、子どもに飲んでもらうしか方法がありません。しかし、マッサージは家族に負担がかかります。だから結局、いつも母乳授乳をすることに…。こうして私は「母乳授乳を辞めたいのに辞められない」という状況に陥っていったのでした。(②に続く

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りんご

りんご

韓国

韓国在住、日韓ハーフ1歳児の母です。30代後半で国際結婚。新婚生活スタートと同時に子どもを授かり、異国の地で手探りの妊娠期間と高齢出産を経験しました。日本では紙媒体の編集記者の他、ファミリーサポートセンターでの勤務経験もあり。今地球のどこかで、ちょっぴり孤独も感じつつ子育てに奮闘中の方へ、私の体験・失敗談を通して「1人じゃないよ」とエールを届けられたら嬉しいです。