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おっぱいトラブル体験記② 〜突然始まった胸の激痛!ついに乳腺外科へ〜

りんごりんご

適切な情報や、相談できる場所が見つからず…

今振り返ると、生後100日くらいまでおっぱいトラブルに泣いていた時期は、完全に情報不足に陥っていました。もちろん、インターネットで検索すれば、おっぱいトラブルに関する情報はたくさん出てきましたが、自分の悩みにぴったり当てはまる「これだ!」という適切な情報に出合えなかったのです。

一日に何度も授乳しなければいけないのに、解決策が見つからない毎日。ニンニクの匂いに苦しんだつわりの時と同じくらい、この時ほど「日本に帰りたい」と思ったことはありませんでした。日本に住んでいれば、保健所や産婦人科、小児科、乳腺外科など、頼れそうな場所や人をすぐ探し出すことができ、自分の身体や赤ちゃんの状態を見せながら、日本語で細かなアドバイスが受けられたかもしれないのに、と。

突然始まった胸の激痛

そうして涙を流す日々が続いていたある日、胸に今まで感じたことのない激痛が走りました。授乳が終わってしばらくすると、突然、針で刺されたような痛みが乳房を襲うようになったのです。一度痛みが始まると、10分くらい動けなくなってしまい、息子を抱くこともできません。

産後3週間手伝いに来てくれていた母が帰国する直前の出来事だったため、母には無理を言って「所用を済ませたらすぐ韓国に戻って来てほしい」とお願いしました。

次に考えたのは「母のいない1週間をどう乗りきるか?」ということでした。とにかくこの痛みを抑えなければ息子の世話ができないと思った私は、再び、母乳育児相談室へ駈け込み、泣きながら助けを求めました。マッサージを受けた後、先生が「痛い時は薬を飲めば少し楽になるから」と、痛み止めを処方してくれる小児科を紹介してくれたのですが…。

小児科の男の先生は胸の状態を見ることもなく、「ああ、それは乳腺炎ですね」と言って、薬を何種類も処方。高熱が出ているわけではなかったので「乳腺炎の症状とは違うみたいだけど…」と思いながらも、すがる気持ちで薬を飲みました。しかし、それがのちに後悔につながることになったのです。

処方された薬を全部飲みきっても、治るどころか痛みが増すような気がした私は、これはもう専門医を探し出して検査してもらうしかないと思い、同じ市内に住んでいた日本語堪能な韓国人の知人に相談し、乳腺外科がある病院を教えてもらいました。

ついに乳腺外科へ

それまで病院へ行く時は、伝え間違いや聞き間違いがあると大変なことになるので、できるだけ韓国人の夫についてきてもらっていましたが、夫の休みに合わせていては治療が遅れてしまうため、韓国へ戻ってきてくれた母に息子を預け、一人で病院へ。初めて聞く医療用語や専門用語などはスマホの辞書で意味を確認しながら意思疎通し、なんとか乗りきりました。

乳腺外科では、まず症状を説明し、先生が私の胸を触診しながら状態を確認。その後、すぐに乳房超音波検査(エコー検査)を受けた結果、私の胸には大小のしこりがたくさんできていることがわかりました。「授乳中にしこりができるのはよくあることで、見た限りすぐ細胞検査をしなければいけない状態ではないけれど、あまりにも大きいしこりは今日処置した方が良いと思います」と先生。

ベッドに横たわると、乳房に太く大きな注射器の針をブスっと刺されました。その時だけ痛みが走りましたが、処置自体はすぐに終了。注射器が満杯になるほどたくさんの液体(しこりの中身)が吸い上げられていて驚きました。

その日私は、今まで他の病院で処方された薬の袋をすべて持参していたのですが、先生がある薬の名を指さし、「どうしてこの薬を飲んだんですか?」とひと言。それは、小児科で乳腺炎だと診断された時に飲んだ薬でした。

「おそらくあなたは『イースト感染』だと思われますが、この薬を飲んだら症状が悪化してしまうんですよ」と言われた時は、がく然としてしまいました。どうしてあの時「乳腺炎じゃないはずなのに…」と思った自分の声を無視してしまったんだろう?どうしてこうなる前に「乳腺外科を探して検査を受けよう」と思いつかなかったのだろう、と。

帰宅して詳しく調べてみると、韓国で「イースト感染」は「カンジダ感染」とも呼ばれていて、私と同じ症状に悩んだ韓国人ママたちの体験記がいくつもネット上で公開されていました。その中には私のように乳腺炎だと言われて処方された薬を飲み、症状が悪化してしまった人の話もありました。

先生には、母親がこの病気にかかった場合、子どもも一緒に治療しなければならないと言われ、翌日すぐ小児科へ連れて行きましたが、息子には特に異常なし。「もし口の中が白くなったり、身体に異常がみられる時はすぐ連れてきてください」ということでした。

日本でおっぱいトラブルとして紹介されている「カンジダ症」は「鵞口瘡(がこうそう)」とも呼ばれ、誰もが身体の中に持っている常在菌「カンジダ」が、免疫力やホルモンの変化等によって増殖することで生じる感染症だと説明されています。

参考にした日本の各種WEBサイトには、「母親の胸の皮膚がかぶれて痛痒くなる」とか、「赤ちゃんの口に白い苔のようなものができる」という説明が書かれていましたが、私と息子にはどれも当てはまらない症状だったので、最初は「韓国で『カンジダ感染』と呼ばれている胸の病気は、日本の『カンジダ症』とはまた違う病気なのかな?」と、とても困惑しました。

しかし、韓国の各種WEBサイトでカンジダ感染について調べると、「授乳中または授乳後の胸に激痛が走る場合がある」とはっきり明記されていたため、診断を受けた後は韓国の情報を参考にすることにしました。

この病気は2週間〜1か月で完治するのが一般的だそうですが、私の場合、痛みが完全になくなるまで、しっかり1か月かかりました。その間、塗り薬と飲み薬(いずれも抗生物質と抗真菌薬)を処方され、1週間に1回通院しながら治療していきました。(③へつづく

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りんご

りんご

韓国

韓国在住、日韓ハーフ1歳児の母です。30代後半で国際結婚。新婚生活スタートと同時に子どもを授かり、異国の地で手探りの妊娠期間と高齢出産を経験しました。日本では紙媒体の編集記者の他、ファミリーサポートセンターでの勤務経験もあり。今地球のどこかで、ちょっぴり孤独も感じつつ子育てに奮闘中の方へ、私の体験・失敗談を通して「1人じゃないよ」とエールを届けられたら嬉しいです。