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発達障害かも?と思ったら

くまさんくまさん

発達障害と言ってもその症状は様々で、個人差が大きいのが特徴です。私の娘は、発達障害のなかでも「集中力が続かない」「注意散漫」「忘れ物が多い」といった症状が特徴の「ADD(注意欠陥障害)」と呼ばれるタイプです。

子どもの頃は誰しも忘れ物をしてしまいがちで、それが単なるミスによるものなのか、発達障害によるものなのかは判断が難しいと思います。ですが、それも小学校へ上がる頃になると症状が顕著に表れ始めます。

小学生になると、それまで親がしてあげていたことを自分自身でしなければいけない場面が増えてきます。身の回りの整理整頓・提出物の期限を守る・毎日の持ち物を揃えるなど、自分自身で把握し、こなしていく必要があります。その時にまわりのお子さんに比べて明らかに忘れ物の回数が多い、何度言っても同じことを繰り返してしまうなどの場合は、発達障害のテストを受けてみるのがいいかもしれません。

私は、発達障害は障害ではなく、障害という名前のついた“特徴”だと捉えています。なので、早期に発達障害であるかどうかを知ることは、子どもとの接し方を学ぶ良い機会になります。もし、うちの子発達障害かも…と悩んでいる方がいらっしゃったら、一度テストを受けてみることをおすすめします。

発達障害のテストは、通院型から訪問型など様々なものがありますので、お子さんに合ったタイプのものを選ぶと良いと思います。

何が出来て、何が出来ないのかを考える

発達障害を抱えるお子さんは、日常の生活を送るなかで失敗をしてしまうことが多いと思います。すると親は、必然的に子どもを叱ることになります。そんなことが続くと、ついついお子さんの悪いところ、不得意なものにばかり目が向いてしまいがちです。

ですが、発達障害を持つ子にも得意分野は必ずあります。そして、その得意分野は同い年の子どもと比べて、平均的な数値を大きく上回っていることも少なくありません。ですから、お子さんの出来ることと出来ないことをしっかりと考えると良いと思います。出来ることは大いに伸ばし、出来ないことは全力でサポートする。そうした心がけをすることで、必然的に叱る回数が減り、子どももストレスを抱えにくくなります。

私の娘の場合、ワーキングメモリーという、短期間の記憶を持続させる能力が極端に低いのですが、言語能力が同学年のお子さんと比べて、とても高いことが分かりました。その結果、3秒後に判明してしまうような嘘を、言葉巧みについてしまうという特性を持っています(笑)。そのくらいのことなら誰にでもあると思われるかもしれませんが、娘の場合は笑い事では済まされないような嘘をつくことが多くありました。幼稚園や学校、時には児童相談所まで巻き込んでしまったこともあります。先を見越して物事を考える力が低いのに、言語能力が高いので、このようなことになってしまうのです。

当時、娘がお世話になっていた臨床心理士の先生からも、その嘘は少々危険だと言われ、行動療法などの治療を受けることになりました。

娘がついた嘘の一例

・祖父母の家に泊まりに行った際、朝食が和食だったことに腹を立て、周囲の人に祖父母に何も食べさせてもらえなかったと語り、菓子パンを買ってもらう。
・幼稚園の先生から注意を受けると、先生から突き飛ばされ、毎日のように暴言を受けていると涙を流しながら報告してくる(その言葉を真に受けた私と幼稚園の関係が悪化)。
・私から叱られると、幼稚園の先生に親から虐待を受けていると危機迫る表情で熱弁し、助けを求める(幼稚園側と増々関係が悪化するも、後に面談で誤解が解ける)。
・小学校の宿題を連絡帳に写し忘れたにもかかわらず、担任の先生が自分にだけ教えてくれなかったと泣きわめく(後に担任の先生が家に来て、あっさり白状する)。
・小学4年生の時に30分の留守番をお願いすると、親に一人で置いて行かれたと大騒ぎし、電話で遠方にいた祖父母を呼び出す(未だに留守番は出来ません)。

これ以外にもあげればきりがない程の嘘をつかれてきて、愛情をかけて育ててきたはずなのにどうしてなの?と、いつも泣いてばかりいました。

娘にどうして嘘をつくのか尋ねてみても、本人は嘘をついているつもりがまったくないので(自分の思い通りにことを運ばせようと最善の策を練って行動しているだけなので、嘘をついている感覚がない・それによって相手がどんな気持ちになるかは想像が出来ない)理解が出来ないのです。

しかし、憎むべきは本人ではなく障害であるということを念頭に置き、臨床心理士の先生と行動療法を行った結果、それらのことは少しずつ改善することが出来ました。もちろんそのためには教育機関やまわりの理解を得ることがとても重要になってきます。

ただ、発達障害のテストで得意不得意が数値化され、娘の発達障害の傾向を知ることで、その行動のほとんどに納得がいくようになり、私も少し楽になった気がします。そして、伸ばしてあげるべき能力も分かりやすくなったと感じました。

二次障害に気をつける

発達障害は心の病ではなく、脳の機能障害です。ですから、本人にはどうしようも出来ないことがたくさんあります。また、発達障害を抱えるお子さんは、発達が実年齢の3年程度遅れているとも言われています。小学3年生の問題を小学1年生にやらせるのは無理がありますよね。そんな風に考えてみると分かりやすいと思います。なので、発達障害を抱える子どもは、日常生活の中で常に困難と闘っています。

そこで気をつけなければならないのが二次障害です。代表的なものでいうと「うつ病」があげられます。毎日同じことで叱られ続けていたら、大人だって気が滅入ってしまいますよね。それも、自分ではどうしようも出来ないことでの失敗だとしたら…。考えただけでも辛くなります。でも、発達障害を抱える人がうつ病になるリスクは非常に高いと言われています。そうなってしまうと、社会から孤立してしまい、働けなくなり、最終的には引きこもってしまうことになります。親としては、避けなければならない問題です。

ですから、日頃から本人の気持ちに寄り添い、出来ることは全力で伸ばし、出来ないところをサポートすることが重要だと思います。そして将来的には、本人が自分の特徴を理解し、注意しながら生活をしていけるような仕組み・工夫を見つけ出しましょう。

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くまさん

くまさん

東京都

東京在住のワーキングマザー。発達障がい(ADHD)のある中学生と、定型発達の保育園児、乳幼児の3姉妹を育てています。これまでに経験した、出産・結婚・離婚・再婚・ステップファミリーなど、さまざまな体験をもとに、記事を執筆していきます。