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イメージで決めつけないで…シングルマザーの弊害

くまさんくまさん

シングルマザーという言葉の重圧

昔は片親と呼ばれることが多かったひとり親家庭。今ではシングルマザー・シングルファーザーなどと呼ばれるようになりました。この言葉に対する世間のイメージは、どんなものが多いでしょうか。きっとプラスのイメージを持つ人は、あまりいないのではないかと思います。

「一人で子どもを育てていて大変そう」「子どものしつけがちゃんと出来ていなさそう」「経済的に困窮していそう」など、マイナスのイメージを持っている方も少なくないと思います。実際に私もシングルマザーになって、世間の風当たりの強さを感じたことが多々あります。

娘が熱を出して会社で早退をする機会が多かった時は「ちゃんと野菜とか食べさせているの?」とおばさまに言われ、結婚していない人からは「子どもいる人は時短とか出来ていいなー」「○○さんが帰った後に修正依頼くるからこっちが担当しなくちゃいけなくて面倒」と、陰で言われていたことも…。

また、ひとり親家庭で起きた児童虐待死事件などがニュースに取り上げられるたびに「またシングルマザーか」と言う人もいました。世の中の人はこぞってその悲惨な家庭環境を憂い、シングルマザー家庭で育つ子どもに哀れみの目を向けます。ちゃんとやっている人たちがいる中で、そういった人たちがいるのも事実ではありますが、「ひとり親」という言葉で一括りにされ、その人たちのイメージまで背負って生きて行かなければならないのかと、憤りを感じることもありました。

この「ひとり親」はちゃんとしていないというイメージは、いったいどこから来たのでしょうか。「離婚する前とした後で、私は何も変わっていないのに…」そう思って悩みました。

圧倒的な人手不足と時間のなさ

夫婦二人が揃っていても大変な子育て。それを一人でこなすと考えたら…どんなに大変か、子育てをする人なら皆分かるのではないでしょうか。ひとり親は圧倒的に人手不足の状態で、常に時間に追われています。お父さんが働いていて、お母さんが専業主婦の家庭のようにはいきません。

手作りのお菓子もなければ、一緒に遊ぶ時間もそれほどありません。中には家事も仕事も完璧にこなしているひとり親の方もいるかもしれませんが、時間のない時は家事のところどころに綻びが出てしまいがちです。きっとそんな一つ一つの綻びを「ちゃんとしていない」と捉えられてしまうのかもしれません。でもその時、もし自分がすべてを一人でやっていたとしたら…そう考えてくれる人が少しでも増えると嬉しいなと思います。

まだまだ世界は男性が優位

それから、シングルマザーをしていて辛いと感じることの一つに父親がいないことによる周囲の対応の差があります。

具体的なもので言うと幼稚園の面接・小学校の面接・病院での医師との対話・大きな買い物の際など、人と何かを話す機会。それと何かの申込をする時なども、保護者記入欄は決まって男性(父)の名前で、女性の名前は「妻」という小さなスペースしかないなど、夫婦揃っていた時には気にならなかったようなことがチクリと心に刺さりました。

もちろんすべての人に共通する訳ではありません。ですが、家を借りたり車を買ったりお金の支払いが関係してくるところでは、そうゆうことが顕著に感じられた気がします。夫がいた時はこんなことなかったのに…そんな風に思うことがよくありました。男性であること、正社員であることは、この国で信頼を得るためには何ものにも代え難いものなのだと痛感させられました。

世の中は子どもの失敗の理由を母親に求めたがる

「きっとひとり親だから子どもの面倒をちゃんと見ていないのよ」「ちゃんとした物を食べさせているのかしら…」「あそこの家、ひとり親なの?どうりであそこのお子さん…」これらの言葉は、私を含め私のまわりにいるシングルマザーの友人が実際に言われたことのある言葉です。

その家庭のことをよく知りもしないのに、どうしてこのようなことが言えてしまうのか。私はそこに「人は誰しも理由が欲しい生き物だ」ということが関係しているように思います。子育てにおいて、特に子どものことについては、とりあえず何でも母親のせいにしてしまうのが、理由を求める上で1番手っ取り早く楽な方法なのです。

だから私は、そのような考えの元に発せられた言葉に傷つき、惑わされる必要はないと考えます。世間のイメージに苦しむ場面の多いシングルマザー・ひとり親ですが、自分と子どもと、今の生活に一生懸命に向き合いさえすれば、他人の言葉など気にする必要はないのです。答えはいつも、目の前の小さな笑顔にあると、私は思っています。

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くまさん

くまさん

東京都

東京在住のワーキングマザー。発達障がい(ADHD)のある中学生と、定型発達の保育園児、乳幼児の3姉妹を育てています。これまでに経験した、出産・結婚・離婚・再婚・ステップファミリーなど、さまざまな体験をもとに、記事を執筆していきます。