不妊治療の最初に行う治療として「タイミング療法」があります。これは、排卵日を的確に予測してその日に合わせてセックスをするものです。
不妊治療としてこのタイミング療法を行う場合は、病院で医師から排卵日を教えてもらいますが、不妊治療を経験していない人でも、基礎体温や排卵検査薬などを使用することで、排卵日を予測しタイミングを取ることができます。
排卵日を意識してセックスをする。言葉にするととても簡単なように感じますが、実は女性にとってこれは大変なうえなかなか厄介なことなのです。
今回ご紹介するエピソードは、私もさんざん悩んだ排卵日の伝え方についてご紹介したいと思います。
タイミングを取りたいのに取れない現実
タイミング療法不妊治療の最初のステージということもあり、案外気軽に考えられています。しかしこれは、ほかの治療と比較し、女性にとっては精神的に苦痛で厄介なのです。
何が厄介なのか…それは、排卵日当日、パートナーに「今夜がチャンスよ!」というか「今夜セックスしましょう」と伝えることです。私自身もそうでしたが、やはり女性の方からセックスを誘うのは恥ずかしさが勝り、なかなか言い出し辛いものです。
しかも、伝えられた男性自身も仕事や付き合いなどで帰宅が遅くなることや、普段の疲れが貯まりセックスどころではなくなることもあるでしょう。また、排卵日を伝えられたことで「今夜はセックスしなければいけない」というある意味プレッシャーも感じその気が失せる。などなど、お互いの気持ちがしっかりかみ合わずなかなかうまくいかない…。と、悩んでいる人もいるはずです。
男性のそんな気持ちとはうらはらに、不妊治療を受けている女性にとって排卵日は1ヶ月に1回しかないとても貴重な日。しかも、卵子の老化なども考えると、1ヶ月に1回しかない排卵日はとても重いものなので、できれば逃したくありません。そこで苦しむのが上手な伝え方です。
排卵日だとどう伝えたらいいの?
あれは私が最初の病院で不妊検査を受け、タイミング療法を開始したときのことでした。ちょうど同じ時期に、夫は仕事で資格試験を受けなければならなくなり、昼は会社で仕事、帰宅後の夜はほぼ勉強するという毎日を送っていました。
そんな中でやってきた排卵日。私は伝え辛さを感じながらも出勤前の夫に「今夜がチャンスだから」と言いました。しかし、返ってきたのは嫌そうな表情で「勉強しなければならないから今回はそんな気分になれない」という言葉でした。
私は「そうだね。わかったよ。ごめんね」と笑顔で何とか返事をしました。やっとの気持ちで排卵日だということを伝えているのに、嫌そうな表情で断られる。こんなに苦しいことはありません。
できれば気軽に伝えて、不妊を意識していなかった頃のように楽しくセックスしたい!でも現実は日を重ねるごとにそこからどんどん遠ざかる
「どうしたらいいのだろう…」…私は切なくなり1人で泣きました。
そして、この出来事を境に私は夫に排卵日を伝えることができなくなり、このあと5年近く私は不妊治療を休むことになりました。
どうしても辛いなら思い切ってステップアップも!
不妊治療を5年休もうが10年休もうが、子供を欲しいと思い不妊治療を受けるなら、排卵日を伝えタイミングをとることは避けては通れません。
5年後治療を再開したときどう乗り越えたか。それはステップアップでした。私は治療を再開するのと同時に人工授精にステップアップすることを決意しました。そして治療をスタートする前に人工授精の一連流れも含め夫に説明しました。排卵日はセックスするのではなく精子を採取しなければならないということも…。
排卵日に夫にセックスをお願いするではなく、排卵日は夫に精子を採取してもらう。そういった形で私は、乗り越えることとなりました。正直こうなってくると不妊治療が義務的になりあまり気持ちのいいものではありません。しかし、ステップアップすることでしか私たち夫婦は前に進むことができませんでした。
タイミングと比較すると、人工授精は夫婦ともに身体的負担は多くなります。今振り返ってもこれが正しいとは考え辛いですが、タイミングを伝えるのが辛いという人は、タイミング療法から人工授精へステップアップするのもひとつの方法だと思います。
そして、最近はスマホのアプリが普及しています。直接言葉で伝えなくても、メッセージを送ることもできますし、夫婦で共有しているスケジュールアプリに排卵日を記録するという方法もいいかもしれません。今はいろいろなツールがあるので上手に使えるといいですよね。
赤ちゃんが欲しいと願った人なら一度は経験する、排卵日の告知。できれば苦しむことなく気軽に相手に伝える、そんな環境が一番大切なのかもしれません。
みにゃ♥
石川県
石川県奥能登出身。 里山里海に囲まれた自然あふれる土地で育児に励んでいます。 結婚直後に不妊が発覚し不妊治療を経験。 結婚から7年後やっとの思いで妊娠・出産。 しかし、やっとできた子供には発達障害が… 私の育児は常に波乱万丈! だけどめげることなく楽しいことを探し続けています☆