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『82年生まれ、キム・ジヨン』に見る、おとなり韓国の結婚生活と子育て②

りんごりんご

前回の記事では、韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』のあらすじや、同名の原作小説を読んでから映画を観た私の感想を述べましたが、今回は、この作品に登場する韓国特有の風習や子育て環境について、私の体験をもとにご紹介します。

1、韓国の嫁たちが苦労する「旧盆(チュソク)」と「旧正月(ソルラル)」

女性たちは料理と後片付けに明け暮れる

韓国では1年に2回、家族が集って先祖供養を行う「名節(ミョンジョル)」という行事があります。『82年生まれ、キム・ジヨン』の小説では、陰暦8月15日に行う秋の旧盆、映画では陰暦1月1日に行う冬の旧正月の場面が登場しますが、これらの名節では先祖に捧げるお膳を準備するために、女性たちが前日からたくさんの料理を作ります。

さらに、何家族も集って寝泊まりすることもあるため、一日三食と間食の準備、その後の食器洗いや後片付けなどで、女性たちは休む暇もありません。

一方、男性たちは、山にお墓がある家の場合、掃除や草刈りを担当するものの、先祖供養が終わるとお酒を飲んで食っちゃ寝したり、家族を残して自分だけ同窓会へ出かけたりするケースも多いので、女性たちの疲れとイライラは募るばかり。

「名節後には離婚率が高まる」という話もあるくらい、韓国の多くの女性にとって、名節は心身共に疲れる行事でもあるのです。最近では「名節は旅行や遊びにでかける」という家庭も増えていますが、私の夫の実家では、名節には必ず親族が集まり先祖供養をしています。

名節の連休は高速道路が大渋滞

名節の前後はソウルから地方へ、地方からソウルへと民族大移動が行われるため、高速道路を利用すると長時間の渋滞に巻き込まれてしまいます。私も何度か経験して「もうこりごり」と思いましたが、幼い子どもを連れて渋滞の中を移動するのは本当に大変です。映画の中でキム・ジヨンも同じ状況でしたが、子どもがぐずったらあやし続け、途中でミルクを与えたりオムツ替えをしたり…。何泊分もの着替えや離乳食などの荷物を準備するのも、毎回ひと苦労です。

夫の実家では義母を手伝うのが基本

映画では旧正月の前日に夫の実家へ行き、翌朝、義母が台所に立つ音を聞いて目を覚まし、すぐ手伝いに行くキム・ジヨンの姿が描かれていました。私は朝5時前から起きだす義母に合わせて台所に立てたことは一度もありませんが、毎回、食卓の準備や洗い物は必ずやるようにしています。

そのため、夫の実家へ行くと、ジヨンのように義母の足音には非常に敏感になり、ぐっすりと眠ることができません。一番辛いのは、深夜に息子が夜泣きして睡眠不足の時です。ろくに寝ていなくても義母を手伝うために身体を起こす私の横で、朝食時間ギリギリまで寝続けている夫を見ると、イラっとすることが多々あります(笑)。

嫁同士の関係にも気を遣う

小説や映画には出てきませんでしたが、男兄弟が多い家の場合、嫁同士の関係が問題になることもあります。誰かひとり出来すぎた嫁がいても、他の嫁たちは肩身が狭いですし、誰かひとり「面倒なことは嫌」と逃げる人がいると、他の嫁たちは「なぜ私たちばかり苦労しなければならないの?」と不満に思うわけです。

私は長男の嫁ですが子どもがまだ小さく、外国人ということもあり、最初からあまり嫁として期待されていません。しかし、そのせいで次男の嫁(結婚歴10年以上、私より年上)にしわ寄せがいっているように感じることがあり、名節のたびに申し訳なさと居心地の悪さを感じています。

2、子育て環境について

0〜5歳の子どもは全員無償で保育園に通える

映画の中で、キム・ジヨンは子どもを午前中だけ保育園に預けて仕事を探し始めます。韓国では親の就業の有無に関わらず、0〜5歳の子どもは無償で保育園に通えるので、こういったことが可能なのです。実際私は、息子が1歳半になった頃から保育園に預け、家でできる仕事を少しずつ始めました。身近に頼れる人が誰もいないため、今や保育園は第二の家族のような心強い存在になっています。

子育て中の女性を蔑む言葉(ネットスラング)がある

ただ、専業主婦も子どもを保育園に預けることができるため、日中にママ友と頻繁に集まりランチやお茶を楽しんでいる人がいたり、保育園の帰りに子連れでカフェに立ち寄ったりする人たちもいます。小説や映画の中では、そのような母親を見て「ママ虫=育児もろくにせず夫の稼ぎで遊び回る害虫のような母親」と悪口を言う会社員たちの姿が描かれており、キム・ジヨンも「ママ虫」と言われてしまいます。

私自身、泣き叫ぶ息子をベビーカーに乗せ、やっと寝かしつけた後、キム・ジヨンのようにコーヒーを買い、公園で休んだことが何度かありますが、そんな時にもし誰かから「ママ虫」と言われたら…。「私はコーヒーを飲むことも許されないの?」と、とても悲しくなったことでしょう。

ただ、本来「ママ虫」とは、例えば子連れで店を訪れて人に迷惑をかける行為をしていても素知らぬ顔をし、注意されると逆ギレするような母親のことを言うそうです(夫談)。

さて、ここまで映画『82年生まれ、キム・ジヨン』をもとに、私の目からみた韓国の結婚生活や子育て環境についてお伝えしてきましたが、「日本とはずいぶん違うな」と思われた方も多いかもしれません。しかし、実際には韓国にもいろんな家庭があります。

例えば、名節では義母を手伝うどころか「数時間しか顔を出さない」「全く行かない」という人たちもいますし、「実家の近所に住んで、実の親に育児を手伝ってもらっている」という女性もたくさんいます。未だに「男の子を産め」と言うお年寄りが多い一方で、「将来話し相手になる女の子を産んだ方がいい」という年上女性の声もよく耳にします。これって、日本の状況とよく似ていると思いませんか?

お話ししたいことは尽きませんが、最後に、私がこの物語に出合って一番良かったなと感じたこと。それは「子育て中だって、自分の好きな本を読み、映画を観に行ったっていいのだ」と気づけたことです。自分のやりたいことを我慢し続けるより、少しでもやってみる方が、家族に優しく接することができるのだと実感したんですよね。

「家族のために生きなきゃ」と頑張っているママ、パパたちへ。毎日本当におつかれさまです!イライラしたら少しでも自分のための時間を作って、リフレッシュしていきましょうね。

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りんご

りんご

韓国

韓国在住、日韓ハーフ1歳児の母です。30代後半で国際結婚。新婚生活スタートと同時に子どもを授かり、異国の地で手探りの妊娠期間と高齢出産を経験しました。日本では紙媒体の編集記者の他、ファミリーサポートセンターでの勤務経験もあり。今地球のどこかで、ちょっぴり孤独も感じつつ子育てに奮闘中の方へ、私の体験・失敗談を通して「1人じゃないよ」とエールを届けられたら嬉しいです。

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